アゴは、頭蓋骨に錘(おもり)のような状態でついており、頭のバランスをとる大切な働きをしています。重さは約1kgあり、頭蓋骨に筋肉で吊らされています。アゴは歯並びやかみ合わせで位置が決まりますが、前後左右斜め多少ずれていても維持はできます。しかし、アゴには重要な役割があって、頭と首の位置関係に影響するので、当然ずれた状態で吊るされていることは体に良いことではありません。歯並びやかみ合わせが悪くて、アゴの位置がずれていると頭の重心がずれ、頭が傾き、首や背骨、骨盤のバランスまで影響します。つまり、あごの位置は体のバランスを取るのに重要な役割を果たしているということです。
下図を見ていただくとわかると思いますが、アゴのある位置により体の傾きが変わっています。
頭はその人の体重の約8パーセント程度の重さがあり、一般的には約5kgあると言われています。錘(おもり)のようについたあごがどの位置にあるかによって、頭のバランスが変わるというのはおわかりいただけると思います。アゴの位置はかみ合わせで決まり、かみ合わせが悪いとアゴはずれます。アゴがずれると身体全体のバランスが崩れます。
あごの位置がずれることにより、頭のバランスがずれ、体の重心がずれ、姿勢(身体バランス)も変わるというわけです。アゴの位置は、人間本来の自然なバランスを保つのにとても重要なことです。
頭の重さのバランスが悪いと、頭と首の接続する場所(第1頸椎)に捻り力が生じます。
頭のバランスが前倒しの場合では、第1頸椎が引っ張り上げられ、ここを通過する脳へ血液を送る椎骨動脈という血管が引っ張られると、脳血流に影響を及ぼします。当研究所における脳血流を計測する光トポグラフィーを用いた脳血流検査では、顎位是正装置(頭のバランス改善)を装着した直後から脳血流の上昇(改善)が認められました。これにより「アゴずれ」による「脳血流低下」の存在が証明されました。 (2003)
第1頸椎における捻りは血管のみに留まらず、神経(延髄〜脊髄)にも牽引力が加わります。原因不明の神経系疾患においてこれが発病メカニズムと考えられる疾患が数あります。(三叉神経痛など)
姿勢が悪いと血管や神経が圧迫(牽引)され、骨格や筋肉がゆがみます。人間本来の姿勢から少しでも傾くことがあれば、身体バランスを維持するためにさまざまな部分に負担をかけることになります。筋肉が過度に緊張し、血管や神経が圧迫され、血行障害・血液の循環障害・血色不良などが起こります。特に首のバランス不良による脳の血流低下に伴う諸症状は、精神症状・内臓疾患・皮膚病態など多岐にわたります。姿勢(身体バランス)の崩れは、小さな病気、大きな病気にかかわらず発病の根本的原因と言えるでしょう。病気になる体は、アゴのずれから、頭のバランス、身体バランスの崩れから始まります。